年末調整、事前チェックリスト!

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 似顔絵

こんにちは、税理士の中東(なかひがし)です。

今月は「年末調整」についてご説明します。

 さて、先日お話しした従業員へ配布するチェックリストの一例を紹介しましょう。

 ここには各申告書のチェックポイント、添付してもらう書類の種類が記載されています。

 これらをチェックしてもらうことで提出漏れや修正漏れを防ぐことがき、段取り良く年末調整を進めることができます。

 特に今年の中途入社で前職がある従業員には、前職の源泉徴収票を提出してもらう必要があります。これらのチェックリストを各申告書とともに早めに配布し、漏れなくチェックしてもらいましょう。


● 給与所得者の扶養控除等申告書

 □ 自分や家族の氏名、生年月日は正しいですか?

 □ 結婚や出産、家族の就職などで、変更はありましたか?

 □ 年間所得の見積額の記載をしましたか?

 □ 同居の有無や、障害者等についても記入もれはありませんか?



● 給与所得者の配偶者特別控除申告書

 □ 結婚していますか?
     → 未婚の場合記入不要です。

 □ 配偶者の収入や所得は正しく記入されていますか?



● 給与所得者の保険料控除申告書

 □ 生命保険・個人年金などの保険料を支払っていますか?
     → 記入するとともに証明書を添付してください。

 □ 地震保険料を支払っていますか?
     → 記入するとともに証明書を添付してください。

 □ 天引きの保険料以外に、国民年金や国民健康保険料を支払っていますか?
     → 記入するとともに、国民年金保険料は証明書を添付してください。

 □ 小規模企業共済に加入していますか?
     → 記入するとともに証明書を添付してください。



● その他

 □ 住宅借入金等特別控除をうけますか?
      → 住宅借入金等特別控除申告書
         借入金の年末残高等証明書
         を添付してください。

 □ 今年入社し、今年前職はありますか?
      → 前職の源泉徴収票を添付してください。



以上の書類を添付の上、 月  日までに提出してください。


 以上が年末調整準備の大まかな流れとなります。


 これまでの説明でお分かりのように、年末調整は確認事項がとても多いため、前準備がとても重要となります。

 また、具体的な計算は、最終給与が確定してからでないと進められませんので、段取りよく行わなければなりません。

 みなさん、準備は早めに段取りよく行いましょう。


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どのような段取りですすめればいいの?

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    こんにちは、税理士の中東(なかひがし)です。

    今月は「年末調整」についてご説明します。


     それでは年末調整の大まかな流れを説明しましょう。

     まず、年末調整の際に必要となる資料を収集します。それぞれの書類の説明は後ほど行いますが、まずはすでに従業員から提出されている「給与所得者の扶養控除等申告書(以下「扶養控除申告書」)」を一旦従業員へ返却をして、年末調整時点での状況と合っているかどうか内容の再確認と修正をしてもらいます。

     次に、11月を過ぎて各税務署から郵送される年末調整用紙を従業員へ配布します。このときに確認事項が漏れないようにチェックリストを作成し、各申告書と共に従業員へ配布すると良いでしょう。

     そして、1年間に支払った給料賞与の額を合計します。このときその年の途中で入社した人については前職分の源泉徴収票を受理し、加算することを忘れないようにしましょう。

     その後、給与所得控除後の給与の額を求めます。給与所得控除後の給与の額は税務署から配布される「年末調整のしかた」に記載してある「年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額」で求めます。


             
    前職の源泉徴収票の受理
    ・・・
    課税支給額 源泉税額
    社会保険料
    の集計
           
        ・・・
    年末調整のしかた参照
           
    扶養控除申告書
    配偶者特別控除申告書
    保険料控除申告書

    受理と内容確認
       
           
      ・・・
    A − B
             
        ・・・
    年末調整のしかた参照
           
    住宅借入金等
    特別控除申告書の
    受理と内容確認
       
           
      ・・・
    C − D
    チェックリストを利用しよう!
         
       
         



     各資料から所得控除の金額を計算し、給与所得控除後の給与の額から差し引きます。

     先ほど、所得控除は14種類あるといいましたが、年末調整で控除できるのは11種類です。年末調整で控除できない3種類(医療費控除、雑損控除、寄付金控除)について控除をしたい場合には、別途確定申告をしなければなりません。

     続いて、この所得控除を差し引いた金額に、「年末調整のしかた」にある「所得税の税率」を当てはめて所得税額を計算します。

     そして、年末調整で住宅借入金等特別控除を行う場合はこの税額から控除額を差し引きます。

     こうして計算した金額が、その人が一年間に納めるべき所得税額となります。

     最後に、一年間給与から天引きした所得税の合計額が、先に計算をした所得税額より多い場合はその差額を還付します。逆に先に計算をした所得税額より少ない場合にはその差額の税額を徴収します。

     以上が年末調整の流れとなります。

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    税金計算の仕組みはどうなっているの?

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      こんにちは、税理士の中東(なかひがし)です。

      今月は「年末調整」についてご説明します。


      年末調整の流れを説明する前に、基本的な所得税の計算方法についてお話しましょう。

       所得税は個人の儲け(所得)に対してかかる税金であり、現在10種類の所得に分類されています。例えば、株式などの配当金は配当所得、不動産の賃貸収入は不動産所得、給料賞与によるものは給与所得、などです。

       これら所得を分類し計算した金額から所得控除を差し引きます。

       所得控除とは、個人的な事情を考慮するための控除項目です。たとえば妻や子がいれば配偶者控除や扶養控除として、生命保険料を支払っていれば生命保険料控除として、それぞれ所得から控除することができます。このような所得控除は全部で14種類あります。

       所得控除を差し引いた後は、税金の計算をします。

       まず、所得控除を差し引いた残額に一定の税率を乗じて所得税を計算します。その後、所得税から税額控除を差し引きます。税額控除とは、たとえば住宅借入金等特別控除です。

       そうして、その人が本来納付すべき所得税額が決定します。



           
      ・・・  給与所得=給与収入ー給与所得控除など、10種類
           
      ・・・  基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除 など
           
      ・・・  (所得合計−所得控除)×税率
           
      ・・・ 住宅借入金等特別控除 など
           
       
      確定申告でしか出来ない控除もある!
      医療費控除、雑損控除、住宅借入金等特別控除の1回目など
       



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      年末調整は誰でもやってもらえるの?

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        こんにちは、税理士の中東(なかひがし)です。

        今月は「年末調整」についてご説明します。

         年末調整の対象となる人は基本的に雇用主から給与をもらっている人で、下の図に示す人たちを指します。もちろん、このなかには事業専従者も含まれています。

         ただし、「給与所得者の扶養控除等申告書」を年末調整を行う日までに雇用主へ提出していなければ、年末調整を受けることはできません。

         また、年末調整は通常年末に行いますが、年末調整の対象者によっては年の途中に行う場合があります。

         その対象者とは、死亡などの理由で退職をした人、1年以上の予定で海外の支店などへ転勤をした人、などです。いずれもその理由が発生したときに年末調整を行うことになっています。

        年末調整の対象となる人
           
        1年間勤務している人   途中入社で年末まで
        勤務している人
             
        退職者のうち、
        一定の要件の人
          非居住者となった人


         いわゆるサラリーマンといわれる人で一見年末調整の対象となりそうな人であっても、下の図に示すような人については、年末調整の対象とはなりません。

         なお、これらの人たちは年末調整をしませんので、必ず自分で確定申告をする必要があります。

        年末調整の対象とならない人
           
        給与収入が2000万円を超える人   災害減免法により
        徴収猶予を受けている人
             
        2か所給与の人で、
        扶養控除申告書を提出していない人
         


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        年末調整とは何ですか?

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          こんにちは、税理士の中東(なかひがし)です。

          今月は「年末調整」についてご説明します。


          確定申告は個人が自分で収入や経費、所得や税金の計算をして納税をします。一方、年末調整は雇用主が従業員の一年間の給与から税金を計算し、すでに給与から天引きしている所得税額の合計額から精算することで納税が完結する仕組みをいいます。したがって、サラリーマンの多くは年末調整で納税が完結しますので、確定申告をする必要はありません。

           ここで、「なぜ毎月税金を天引きしているのに、あらためて年末に計算をする必要があるの?」と疑問を抱く方もいるでしょう。なぜかといえば、ほとんどの場合、天引きした所得税額の合計額はその人が本来納付しなければならない所得税額と一致しないからです。

           たとえば毎月天引きをする所得税額は、年の途中で扶養家族が増減してもそれ以前の月に遡って修正しません。また、生命保険料や損害保険料などの控除額は毎月の天引きの際に全く考慮されないのです。

           したがって、毎月天引きされていた所得税額はあくまで”概算”にすぎず、年末に計算をし直して精算をする必要があるのです。


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          年末調整で見落としやすい3つの盲点

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            こんにちは、税理士の中東(なかひがし)です。

            今月は「年末調整」についてご説明します。


            年末調整で見落としがち・申請し忘れがちなことの原因は、大きく分けて以下の3点に集約されます。勤務先に年末調整の書類を提出するとき、あるいは提出したあとも以下のポイントに留意するといいでしょう。

            そのポイントとは、

            • 書類記入時の盲点
            • 書類提出時期の盲点
            • 年末調整の処理項目ではないという盲点

            の3点です。

            この3つの盲点について、「平成22年に勤務先に休業届けを提出し、年末に出産、平成23年の大半は育児休業扱いで過ごした」というケースで説明してみましょう。

            書類記入時の盲点

            出典:国税庁undefined年末調整のしかたより

            出典:国税庁 年末調整のしかたより


            書類記入時の盲点とは何でしょうか。年末調整の書類を提出するときに「昨年と同じように書いて提出」してしまう場合には、この盲点に気付かないことが多いといえます。このケースでいえば、配偶者控除や配偶者特別控除の適用漏れが考えられます。事例では、通常年よりも平成22年と平成23年は年収が極端に少なくなっていることが考えられます。そのため合計所得金額が38万円以下であれば配偶者控除の対象となり、控除対象とすることができます。
            給与所得者であれば、年収から65万円を差し引くことによって合計所得金額をもとめることができますので、育児休業をしている期間は毎月の給与明細をきちんと保管しておいて、配偶者控除や配偶者特別控除の適否を確認しましょう。

            書類提出時期の盲点

            ふたつめのポイントとして書類提出時期の盲点、つまり、スケジュール上の盲点に引っかかってしまうケースです。このケースでは、扶養親族の適用漏れが発生しているケースが高いといえます。通常の年末調整のスケジュールは、
            11月中旬:扶養控除等(異動)申告書等の書類を配布
            12月:配布書類を勤務先が回収
            となり、その書類に記載されている内容に基づいて、年末調整の処理をすることになります。年末調整の書類を勤務先が回収した後に扶養親族が増えたというような場合には、扶養親族は実態よりも少なくカウントされていることとなります。
            年末調整の適用基準は年末であって、勤務先が書類を回収した日ではありません。書類回収後に年末調整の書類に影響を及ぼすような異動事項があった場合には注意が必要です。

            年末調整では処理できない項目も

            最後にこのケースのように、出産というような多額の医療費がかかった場合は医療費控除の適用も考えられます。しかし、医療費控除・雑損控除・寄附金控除の3つは年末調整では処理できないため、確定申告で対応する必要があります。また、住宅ローン控除の適用を受ける場合の初年度も、確定申告で対応することになるので、注意が必要です。このように、年末調整で処理できる控除と年末調整の処理項目から外れる控除とを区分しておさえておくことも重要です。

            つまり、説例を取りまとめると以下のような適用漏れが発生する可能性があります。

            • 書類記入時の盲点→配偶配偶者特別控除の適用漏れ
            • 年末調整提出時期の盲点→扶養親族の適用漏れ
            • 年末調整の処理項目ではないという盲点→医療費控除の適用漏れ

            年末調整をする際は、「昨年と同じように書いて提出」せずに、上記の3つのポイントに留意してみて下さい。



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